アパートやマンションなどの賃貸住宅ではとくに、盗聴器の問題は他人事にはできません。
賃貸住宅は住民の入れ替わりが比較的激しく、引っ越しなどの業者も含めると、同じ期間で分譲住宅と比較しても、非常に多くの人が出入りするのが特徴です。そのため、盗聴器を仕掛けるタイミングも多くあり、男性女性関わらず、誰でも盗聴の被害に遭う危険性があります。
今回は、賃貸住宅での盗聴器の危険性と、盗聴器を見つけたらどうすればいいか、盗聴されないためにできることなどをご説明します。
安心して生活するためにも、賃貸住宅にお住まいの方は、ぜひ一度目を通してみてください。
目次
盗聴器は何で仕掛けられるのか?
盗聴器は、私たちが考える以上に、身近な問題です。
盗聴器が仕掛けられるのは、ホテルやオフィスなどさまざまな場所があります。しかし、発見される場所として一番多いのは一般家庭といわれます。
なんの目的で盗聴器を仕掛けるのかには、さまざまな理由が考えられます。
・いたずら(好奇心)
・空き巣が、家の中に誰もいない時間を知るため
・情報を盗み出すため
・浮気などの証拠を集めるため
・家族の暮らしを調べるため
なかには、「盗聴マニア」と言われるタイプの人間もいると言われるので、注意が必要です。
盗聴相手に対して何か意思があって盗聴するだけでなく、「とりあえず誰でもいいから盗聴しよう」という気持ちで盗聴器が悪用されることもあるのです。
賃貸で盗聴器が仕掛けられやすい場所
賃貸で盗聴器が仕掛けられやすいのは、主に以下のような場所が挙げられます。
・コンセント
・テレビ周辺
・郵便受け周辺
・エアコンの上、室外機付近
・換気扇、ブレーカー内部
・寝室のベッドの近く、置時計の中
・ローテーブルの裏
・ソファの隙間、下
・カバンの中
・脱衣所、浴室、トイレ
・電話のモジュラージャック
・プレゼントのぬいぐるみや置物の中
・配電盤の中
・天井の照明の上
・家具の裏
・押し入れの中
これだけ仕掛けられやすい場所があると、自分で完璧に確認するのは難しいと感じると同時に、いつどこに仕掛けられていてもおかしくないということがわかります。
盗聴器は、家主が家にいる際に訪れた親族や友人・交際相手から設置されることもあれば、家主の留守を狙って家に侵入した何者かが仕掛けることもあります。
また、家主がその物件への入居を決める前の、不動産の内見用に使用されていた時期に、内見ついでに何者かによって仕掛けられている場合もあるので注意が必要です。
ときには、前の住人が壁際などに設置してから退去したり、入居の際に引っ越し業者などが仕掛けていくこともあるといいます。
盗聴器は自分には無関係だと思っている方もいらっしゃると思いますが、実際は用心しすぎるくらいがちょうどいいのかもしれません。
盗聴と同じくらい「便乗盗聴」も怖い
盗聴という行為に関して、脅威となるのは盗聴器を仕掛けた相手だけではありません。盗聴器から出る盗聴波を、まったく関係のない赤の他人が傍受する可能性もあります。
赤の他人が仕掛けた盗聴器の電波を傍受し、盗聴をすることを、「便乗盗聴」といいます。消防無線などを傍受するのと同様の行為ということになりますので、この行為自体に違法性はありません。
しかし、便乗盗聴で聞いた内容を他人に話したりすると、電波法に抵触して違法行為となります。
このように、家の中にある盗聴器に気づかないままでいると、盗聴器を仕掛けた人間だけでなく、それを傍受して便乗盗聴しようとする赤の他人にまでプライバシーが暴かれることにもつながりかねません。
盗聴は法律で裁ける?
実は、盗聴そのものは何の罪にもなりません。盗聴器の購入も、他人の生活音を盗聴するのも、法律には触れないのが現状です。
しかし、盗聴器を仕掛ける過程で、無断で他人の家に忍び込むという段階を経ているのであれば、それはれっきとした「住居侵入罪」です。
ほかにも、
・窓の鍵を壊して盗聴器を設置=器物損壊罪
・盗聴内容で脅しをおこなう=恐喝罪
・盗聴器を改造=電波法違反
・電話機などに盗聴器を取り付けて通話を盗聴=有線電気通信法違反、電気通信事業法違反
などの罪に該当することはあります。
しかし、立証するには誰かの目撃情報などきちんとした証拠が必要な場合も多いので、罪に問うのが難しいケースも少なくありません。
盗聴器を発見したらどうすればいい?
盗聴器を発見したら、どうすればよいのでしょうか。
盗聴器を発見したときにしてはいけないのは、「盗聴器を見つけた」ということを盗聴相手に知られるような言動です。
「盗聴器を見つけた!」というような発言をすると、盗聴器から盗聴相手に聞こえてしまうので、もちろんやめましょう。
なぜ盗聴器を発見したことを盗聴相手に知られてはいけないのかというと、盗聴行為がばれたことを知った相手が過激な行動に走るのを防ぐためです。
相手の逃亡が早ければ事件の全容解明は難しくなりますし、犯人が再度部屋に侵入することになったり、逆恨みを買って危害を加えられたりするおそれもあります。
自宅に調査員を呼んだ際に盗聴器を発見したときは、平静を装うようにして、筆談などで会話するようにします。
個人で発見してしまった場合は、急に取り外したりせず、周囲の状況を何も変えないまま、すぐに警察に届け出ます。
賃貸で盗聴されないようにするための工夫
コンセントやタップなどを定期的に確認
家のコンセントやタップなどを定期的に確認すると安心です。
盗聴器の中でも多いのがコンセントやタップの形をしたものだと言います。見覚えのないコンセントやタップが家の中にあれば、盗聴器の可能性も高くなります。
コンセントやタップなどに装飾を施す
コンセントやタップに、シールなどで装飾しておくと、すり替えが起こりにくくなります。
入居の際に念入りに調べる
これからお部屋を契約しようという方は、家具を部屋へ搬入する前に、念入りに確認しておくのがおすすめです。
できる限り人からもらいものをしない
あまり親しくない人からのもらい物はとくに注意が必要です。ぬいぐるみは中に異物が入っていないか押して確かめるなど、用心する姿勢を忘れないようにしましょう。
まとめ
盗聴器はいまや一般家庭から発見されることが一番多いとも言います。賃貸住宅は居住者が移り変わりするため、いっそう注意が必要です。
盗聴器が仕掛けられやすい場所を確認してみて、怪しいものがあれば業者に連絡してみましょう。
また、入居後も用心をして、親しくない人からのプレゼントなどにも警戒するようにしましょう。
家にいるときに限って電話がかかってくる、知らない車につけられている気がするなど、生活の中で違和感を覚えたら、一度盗聴器発見サービスの業者を呼び、調査してもらうと安心です。
賃貸住宅でも安心して過ごせるよう、入居時に業者に連絡して調査してもらうという方法もおすすめです。