盗聴器には既定の周波数がないのはご存じでしょうか?スマートフォンやテレビ、パソコンといったものの画像や動画の送受信などには、電波が使用されています。電波は道路の通行と同様に、同じ電波を使用してしまうと電波同士がぶつかって、うまく受信できない症状が発生します。そのため、電波にも割り当てがされていますが、盗聴器にはこの決まりがないのです。
しかし、実は盗聴器にも使用されやすい周波数帯が存在します。もし「盗聴されているかも」と疑問を感じたら、ぜひ調査をしてみましょう。今回はよく使用されやすい周波数帯である「盗聴6波」についてご紹介します。あわせて、簡単な調査方法も見ていきましょう。
目次
盗聴器の「周波数」って?
盗聴器は「電波」を使って盗聴している
世の中にはラジオ、テレビ、スマートフォンなど電波を利用して情報を得る・送る機能が発達しています。そのため、目に見えない部分では常に電波が飛び交っています。
不可視の電波ですが、じつは宙を自由に発信しているわけではなく、一般的に固定の「周波数」が定められています。一見規定など必要そうにない電波ですが、地上の道路を走る車や歩行者、空を飛行する飛行機やヘリなどのように、ルールがなければ別の音声や映像を受信してしまうのでうまく取得できなくなってしまうのです。そのため、電波にもヘルツ(Hz)単位でこの電波は●●用、この電波はxx用と定められているのです。
電波を送受信するためには送信側と受信側を同じ周波数に合わせる必要があります。電波の送信側と受信側の電波が異なってしまうとうまく送り届けることができず、盗聴器の機能をなしません。そのため、必ず送信側と受信側が一致した周波数をもっています。
盗聴器の周波数は「規定」されていないって本当?
電波は基本的に電波同士の干渉を防ぐために「周波数」の割り当てがされていますが、盗聴器にはこれらの規定が存在しません。一般的に違法とされる盗聴器は、発見されるのを回避するためにも、規定外の電波を使用するケースが非常に多いのです。
盗聴器に使用されやすい周波数ってないの?
盗聴器は基本的に定まった電波を使用しているわけではありません。しかし、ある理由から、探しやすい周波数というものが存在します。盗聴器を作成する場合、1つ1つ時間をかけて作るのではなく、多くは大量生産をします。盗聴器自体、安価である場合が多いので、薄利多売をしているケースが大半です。
そのため、大抵は大量生産した盗聴器は、周波数の割り当てがまったく同じものになりやすく、盗聴器の周波数には“くせ”が存在するのです。盗聴器に使用される電波は主にUHF帯と、VHF帯の2種類です。それぞれどのような電波なのでしょうか?
アナログ・デジタル放送、無線LANなどで使用する 【UHF帯】
UHF帯とは、300MHzから3000MHzの周波数帯の電波のことをさします。アナログやデジタル放送に使用されたり、無線LANに使用されていることの多い電波となります。そのため、現在身近に使用されている周波数帯ともいえます。
UHF帯は周波数が高く、VHF帯よりも光に近いといえます。そのため、周波数自体の直進性が高まるので障害物に有利となります。ビルや建物などが多い市街地などに有利な電波といえます。
また、周波数が高いと、波長の幅が小さくなるので主受信用のアンテナの大きさが小さくできます。
アナログテレビ放送、鉄道・航空・アマチュア無線の【VHF帯】
VHF帯とは、30MHzから300MHzの周波数帯の電波のことをさします。従来使用されていたアナログのテレビ放送に愛用されていた電波です。 また、ラジオ(FM)もこのくくりに含まれます。周波数が低いので比例して直進性は低く、建物が多い場所ではやや不向きになります。しかし、その分山間部など、地形に富んだ場所ではUDF帯よりも有利となります。
波長の振れ幅は大きいため、アンテナも必然的に大きくしなければ受信できないという特徴があります。
VHF帯はチャンネルの数があまりありません。そのため、別の通信までも受信してしまいやすいです。混信してしまうと、違う電波を拾ってしまう可能性があります。
Ach・Bch・Cchって何?盗聴6波とは?
盗聴6波とは、盗聴器に使用されやすい周波数帯のことです。上記で説明した通り、主な周波数帯はUHF帯とVHF帯の2種類がありますが、その中でも盗聴器に多く使用されているものをAch・Bch・Cchと言い表しています。
- 【UHF帯】
- Ach … 398.605MHz
- Bch … 399.455MHz
- Cch … 399.030MHz
- 【VHF帯】
- Ach … 139.970MHz
- Bch … 140.000MHz
- Cch … 139.940MHz
現在では主にUHF帯を使用した盗聴器が多い傾向にあります。また、このほかにも使用されている電波のパターンが数多くあるため、盗聴6波だけではなく、詳しく調査をする必要があります。
盗聴器はもはや他人事ではない…盗聴器設置の目的と発見場所
「盗聴器なんて仕掛けられているはずがない…」そうお思いの方も多いかもしれません。しかし、さまざまな場所で盗聴器が発見されているのが現実です。今や家電量販店でも、インターネットでも気軽にかつ安価に入手できてしまう盗聴器は、「他人事」として放置しておくことのできない問題となっています。そもそも盗聴する側はどのような目的があって盗聴をしているのでしょうか?
盗聴器を設置する主な目的
- ●好奇心から
- ●遺恨や私怨から
- ●ストーカーなどが監視するため
- ●探偵や家族が家族の誰かに疑惑・監視目的で
- ●個人情報や社内の機密情報などの漏えいをするため
このようなケースが考えられます。なかには業者が工事をしたときに取り付ける場合や、賃貸で前の住民が仕掛けていった…というケースも存在します。
盗聴器が最も発見されやすいのは「一般家庭」!
実は仕掛けられる場所として最も多いのは一般家庭といわれています。社内やビルはセキュリティが強固になっていることも多いので仕掛けるのには慎重を期す必要があり、一般住宅と比べて設置しにくい状況といえます。
盗聴器を設置した本人が、その家に住んでいる家族であるケースの場合は設置するのに容易ですし、盗聴器は小型でさまざまな場所に隠すことができます。友人や近所の方からもらったぬいぐるみや置物などにも潜ませることも簡単なので、知らぬ間に盗聴器が…ということも十分にありうるのです。
盗聴器は都心・田舎関係なく発見されている…
盗聴器は都会にしか仕掛けられていない…じつはそうでもありません。人口が多い都心部は、その分盗聴器の発見されている件数は多いです。しかし、人口当たりに換算すると、都心部も田舎であってもあまり差はないといえます。 その理由として、インターネットや運搬技術の向上によって誰でも簡単に「もの」が入手可能になったためです。もはや、盗聴器は場所を問わず仕掛けられているといっても過言ではありません。
年間数十万個売られている盗聴器。そのうち発見できているのは年間10分の1から2程度といわれています。そのため、盗聴器は他人事ではないのです。
盗聴器の調査を簡単に行う方法
ラジオを使用してみる
ラジオを使用して盗聴する方法です。FMラジオを使用すると、FM周波数を使用した盗聴器を発見することができます。盗聴器は音を拾ったときに稼働することか多いです。そのため、テレビやラジカセパソコンなどを使用して音を鳴らします。
その後、周波数を一番低いものにセットし、徐々に上げていきます。ラジオのスピーカーから聞こえる音を聞きながら操作していきますが、この途中で室内の音楽と同じ音が鳴っているようであれば盗聴されている可能性があります。
盗聴器発見器を使用してみる
専用の発見器を使用した発見の仕方です。ラジオを使用する場合より、より正確に探すことができます。ラジオのときと同様に音を鳴らします。その後、盗聴器を立てた状態で持ってその場でゆっくりとまわります。盗聴器の反応が強くなる方角に進んでいくと発見できる場合が多いです。
よくやりがちなのが、盗聴器発見器のアンテナを盗聴器のありそうな場所に向けることです。しかし、寝かせて持ってしまうと、アンテナ部分が盗聴器に対して「点」でしか反応できなくなってしまいます。よりしっかりとした調査をするためには、アンテナの向きが盗聴器に対して面で受け止められるよう、立てて探すようにしましょう。
スマートフォンのアプリを使用してみる
スマートフォンのアプリの中には盗聴器を発見できるアプリも数多くあります。無料なものから有料なものまであり、使用方法もさまざまです。スマートフォンはアンテナが小型化できるUHF帯を使用しているため、UHF帯の盗聴器を探しやすいかもしれません。しかし、スマートフォン自体のハード面の都合上、しっかりとした調査は不可能だといわれています。
UHF帯の周波数を使用しているとはいえ、スマートフォンが実際に扱っている周波数はごく狭い範囲のものです。そのため、規定されていない周波数を使用している盗聴器を探すことは非常に難しいといえます。
盗聴器をよりしっかり探すなら業者がおすすめ!
盗聴器の電波は非常に微弱になっています。強い電波だと広範囲でも届くので、盗聴しやすいように感じますが、そのぶん発見しやすくなります。そのため、たとえうまく周波数をあわせたとしてもなかなか発見することが難しいといわれているのです。
上記の盗聴器を発見する方法は確かに盗聴器を探すのに一役買ってくれますが、精密に盗聴器を発見することは難しいといわれています。また、盗聴器を発見するときに一番大切なのは、「相手に悟られずに取り除くか」が重要になります。取り除く際に慎重にならないと、思わぬ事態に巻き込まれてしまう可能性もゼロではありません。
より確実に、安全に盗聴器を取り除くのであれば、業者に相談をしてから考えると安心できます。
まとめ
盗聴器は周波数が定められていませんが、量産品である以上、使用する周波数に偏りがでます。その使用されやすい周波数は盗聴6波といわれており、発見率が高いとされています。まずはその周波数帯で発見できないか重点的に調査をしてみましょう。簡易な調査であれば、身近にあるラジオやスマートフォン、比較的安価な盗聴器発見器で調べることができます。
今や盗聴器は身近にあるといわざるをえない数が市場に出回っています。安心して生活していくためには一度調査をしていく必要があります。より確実な調査を望むのであれば、自分で行うよりも業者に依頼した方が安心です。本格的な機器を使用できるうえ、相手に悟られずに取り除くことができるでしょう。