遠方に旅行に出かけると、ほとんどの人がホテルや旅館を利用されますよね。毎日人が入れ替わるホテルは、もしかすると盗聴されているかもしれません。
国内外にかかわらず、誰でも出入りできるホテルは、盗聴の被害が多く報告されています。「まさか自分が……」とお思いかもしれませんが、すでに盗聴の被害にあっている可能性もあるのです。
盗聴の被害を防ぐために、盗聴器に関する知識を知っておきましょう。また、もし盗聴の被害にあってしまったときはどうしたらいいのかを解説していきます。楽しい旅行の中にも、盗聴のリスクは身近に迫っているのです。
目次
ホテルなどの宿泊施設は盗聴されやすい
ホテルなどの宿泊施設は、盗聴されやすい環境といえます。。料金さえ支払えば、誰でも泊まることができ、個室には監視カメラもないことから、誰にも怪しまれることなく、設置することができるのが理由です。
盗聴器は、設置する人と回収撤去する人が違うことも多いため、完全に対策することは不可能に近いです。ホテルでは、盗聴器の有無を定期的にチェックしていることも多いですが、なかなか防ぎきれないのが現状です。
盗聴器は、音声を電波に乗せて発信し、受信機の設定を合わせて音声を受信するしくみになっています。電波の飛びやすい十字路に面したホテルやその最上階は、最も狙われやすく、盗聴の危険性が高まります。
反対に、奥まったホテルの1階や地下の部屋は、電波が悪いことも多いため、安全といえるでしょう。
また、簡易宿所(民泊)は特に盗聴されやすいといえます。簡易宿所は、自宅の一部やマンションの空き部屋を有償で貸し出すもので、旅行者からみれば低価格で泊まることができます。施設のオーナーは、空きスペースを無駄なく収入源にできることから、人気が高まっています。
しかし、ホテルのように従業員の出入りや定期チェックをおこなっていることが少なく、盗聴のリスクは高まります。また、自宅などの住居を兼ねている場合は、電波を受信しやすい環境が多く、盗聴しやすい環境だといえるでしょう。
ホテルで盗聴器が仕掛けられやすいポイントとは?
盗聴器は、大抵人の目につかないところに取り付けられています。ホテルのような宿泊施設の場合、下記のようなところは、盗聴器を設置しやすい場所なので、把握しておきましょう。
・家具の内側や外側(棚やベッドの隙間、椅子の中、テレビの裏側、冷蔵庫周辺など)
・換気扇の内側
・天井にある電灯
・電話機周辺
・電源コンセント付近や内部、三叉ソケット
・壁の内部や天井裏
・ボールペンや置時計
・スピーカー内部
・照明スイッチの中(ベッド付近の電気操作パネルの中、スタンド等の照明など)
・自動販売機の周り
よく知られているのは、コンセントタップ型の盗聴器で、直接コンセントに差し込むだけでバッテリー切れの心配もなく、簡単に盗聴がおこなえます。このような盗聴器は、テレビの裏やベッドの裏など、動かせない家具の隙間に仕掛けられているため、要注意です。
また、人の目につきやすい位置のコンセントには、コンセントカバーの内部に盗聴器が仕掛けられていることがあります。このタイプの盗聴器も、多少の知識があれば設置するのは簡単です。
上記にあるように、少しでもスペースがあればホテルに盗聴器を設置することができます。さらに、電気が通っているところは充電を気にせず、長時間の設置が可能なため、狙われやすい場所になっているようです。
盗聴被害にあわないために盗聴器のことを知っておく
盗聴器の被害にあわないためには、少しでも盗聴器について知っておくことが大切です。盗聴器の知識があれば、未然に防ぐことができるかもしれません。
〇盗聴器の種類
盗聴器とひとことでいっても、種類は多種多様です。大きく分けると、盗聴方法によって3つの違いがあります。
1つ目は、録音する部分と音声を聞き取るマイクが一緒になっている「有線式」の盗聴器です。このタイプの盗聴器は、室内に設置して、あとから回収して盗聴します。
この盗聴器は、設置して回収する必要があるため、頻繁に出入りする必要がありますが、電波を飛ばさず、録音機能を使って盗聴するので発見されにくいのが特徴です。
2つ目は、無線電波を飛ばして、遠くからでも音声を受信して聞くことができる「無線式」の盗聴器です。一般的によく知られているのが、このタイプの盗聴器です。
盗聴器から電波を受信できる範囲は、100~200mと広く、安全に盗聴できてしまいます。無線式の盗聴器は、バッテリーがある限り、半永久的に電波を飛ばすことができるため、電源近くや電気機器の中に仕掛けられていることが多いようです。
しかし、その電波によって、盗聴器を発見することもできるので、ある程度、知識があれば盗聴器が仕掛けられているかを自分で調べることもできます。
3つ目は、録音できるものを部屋の中や車の中、または自ら隠し持って盗聴する「録音式」の盗聴器です。マイクと録音機が一体型になっているICレコーダーなどはこれにあたります。録音式の盗聴器も仕掛けてから回収する必要があります。
〇どんな形のものがある?
盗聴器は、より日常生活になじみ、人に怪しまれないものに進化しています。
よく見かけるのが、コンセントタップ型です。このタイプの盗聴器は、一般的にも認知度が高いため、「盗聴器が仕掛けられているかも……」となれば、真っ先に思いつくでしょう。ホテルの盗聴器被害にもこのタイプが多いです。
しかし、見た目だけでは、普通のコンセントとほとんど見分けがつかないので、まだまだ使用されていることが多いようです。
「まさかこんなものが……?」と日常生活のものにまで、盗聴器は潜んでいます。例えば、ボールペン型やクリップ型、カード型などといったものです。
ボールペン型は、日常生活にも溶け込みやすく、誰が持っていても不思議ではないアイテムです。盗聴器と怪しむ人も少ないでしょう。このタイプの盗聴器は、電源が内蔵されているため、一定期間しか盗聴できないので、回収する必要があります。
クリップ型は、盗聴器に取り付けられたコードの先のクリップを使って、電話回線に繋げ、電話の内容を盗聴したりするものです。コードを電源に繋げば、充電切れの心配はありません。また、コンセントの内側に組み込まれているのも、このタイプの盗聴器が多いようです。
小型で軽量なため、さまざまなところに取り付けることができますが、それなりの知識は必要となります。
カード型の盗聴器は、厚さ5mmほどの薄型で、コンパクトな設計になっているため、どんなところにも隠しやすいことが利点です。電池を入れるだけで使うことができるので、誰でも簡単に盗聴できてしまいます。
あらゆる家具の隙間に隠すことができるので、もし見づらいところにカード型の電子機器を見つけたら、盗聴器と疑ってみた方がいいかもしれません。
コンセントのように、身近な電気機器に姿を変えた盗聴器も多く発見されています。部屋にあって、違和感のないもの……置時計やリモコン、ぬいぐるみや芳香剤などに形を変えているものも多く知られています。
どんなものでも盗聴器になりうると考えてもよいのかもしれません。
もしホテルで盗聴被害にあったらどうする?
もしホテルで盗聴器を発見してしまったら、どうしたらよいのでしょうか?盗聴されたかもしれないという恐怖感もありますが、決してそのままにしてはいけません。そのままにしてしまえば、新たな被害者を生むことになります。
〇警察へ被害届を出そう
もし旅行先のホテルで盗聴器を発見したら、あなたの音声は悪用されてしまうかもしれません。ホテルのフロントに連絡すれば、対応してくれるはずですが、悪用される恐れがある場合、自ら警察に被害届を出すことが可能です。
ホテルの所在地がある管轄の警察署や交番に出向き、必要事項を記入して、被害にあった本人が被害届を出しましょう。その際は、運転免許証やパスポート、保険証など身分を証明できるものと印鑑を持参してください。
盗聴器はすでに取り外してしまった場合、その盗聴器も持っていくことをおすすめします。ホテルの許可や取り外しに国家資格が必要なものもあるので、取り外す前に警察に連絡するのが望ましいでしょう。
記載する事項は、次のようなものになります。
・住所、氏名、年齢
・被害日時、場所
・被害状況(できるだけ詳しく)
・犯人に関する情報が分かれば、犯人の情報
ホテルでの盗聴被害は、不特定多数をターゲットにしていることが多いため、犯人を特定する情報は難しいですが、なるべく状況を正確に詳しく記入しましょう。
被害届が受理されれば、被害者に事情徴収がおこなわれます。その聞き取りの中で事件性があると判断されれば、指紋を取るなどといった操作をして、犯人が特定されれば逮捕まで踏み切ってくれます。
こういった宿泊使節での盗聴被害を防ぐには、きちんと被害届を出しておくとよいでしょう。
〇ただし盗聴じたいは犯罪ではありません
日本の法律には、他人の会話を盗み聞く「盗聴」に対する罰則はありません。盗聴=犯罪と思っている人が多いと思いますが、盗聴だけでは犯罪行為といえないのです。
盗聴が犯罪というよりは、盗聴器を設置するためにおこなう行動が法律を犯している場合があります。
まず、考えらえるのが、盗聴器を仕掛けるときに勝手に他人の住居に侵入したり、盗聴器を取り付けるために家具家電を無断で改造したりすれば、住居侵入罪や器物破損罪にあたります。
また、携帯電話などでの会話内容を無線盗聴して、その内容を第三者にもらせば、電波法違反となります。
さらに、盗聴することで知り得た情報で、相手を脅したり、金銭を要求したりする行為、誹謗中傷する行為、付きまといなどのストーカー行為をおこなえば、それぞれ強要罪、脅迫罪、ストーカー規制法に違反となります。
つまり、盗聴して自分だけで聞くことは罪には問われることはありません。しかし、盗聴をおこなうために住居に侵入したり、盗聴した内容を悪用したりして、相手に損害を与えれば、当然罪になるのです。
まとめ
遠方に旅行に出かけると、ほとんどの人がホテルや旅館を利用します。料金を支払えば誰でも泊まることのできるホテルは、盗聴の被害にあいやすいかもしれません。
最近の盗聴器は、日常生活にあって自然なものに仕掛けられていたり、家具の隙間や見づらかったりするところなどさまざまなとこに仕掛けられています。
ホテルでは定期的にチェックもおこなわれていますが、簡易宿所ではチェックがおろそかになっていることが多いので、要注意です。
もしホテルで盗聴器を発見したら、ホテルのフロントに連絡し、警察に被害届を出しましょう。事件性があると判断すれば、警察は捜査に動いてくれます。
しかし、盗聴だけでは犯罪とならないので、盗聴された情報が悪用されるおそれがない場合は、警察も動いてくれません。被害状況は、なるべく詳しく正確に伝えることをおすすめします。
このように、盗聴器はありとあらゆるところに設置されています。気づいていないだけで、あなたの自宅や車にも盗聴器が仕掛けられているかもしれません。もし、あなた以外に知り得ない情報を他人が知っていたとしたら、盗聴器の存在を疑ってみてください。
盗聴の疑いがあり、自分では探しきれないときは、専門の業者に相談してみるといいでしょう。専門の業者は高い技術と経験、専用の機器などを駆使して、確実に盗聴器を探し出し、取り外してくれますよ。